道外の方であれば冬の生活に不安を感じる方は多いかと思います。富良野市の協力を得て、新築された富良野市北麻町の公営住宅を例に最新の住宅事情を紹介します。

 ご紹介するのは、新築(2014年建設)の住宅であるため、最新式の設備が合理的に施されています。全ての住宅がそうだとは限りませんが、北海道の住宅環境は技術者の研究成果により進化してきました。"最新設備の一例"としてご覧頂ければと思います。

 

 

「公営住宅から見る富良野の住まい」と題して2本の動画でご紹介した公営住宅は、2014年2月に完成しました。元々あった住宅の建替えによるもので、もとの住宅に高齢者や単身者が多かったことから、コンパクトな間取りで建設されました。そして、高齢者へ配慮が施されています。

 共用玄関は、北国の寒さを防ぐために入り口に扉がついています。入り口は引き戸で、車いすでも出入りがし易く、雪が積もっても開閉できる設計になっていました。2階の住戸へ行くために階段にも配慮が施されています。転落などの危険が潜む階段は、幅を広く取り、段差を低くし、両側に手すりが設置されていました。すれ違い易く、小さな子どもでも上り下りしやすいように配慮されていました。

 部屋の玄関には、段差がほぼありませんでした。靴を履きやすいようにし、収納式のいすがありました。ゆっくりと靴を脱いだ後は、手すりで立ち上がれます。玄関に限らず、室内には段差がほとんどありません。トイレ・浴室にも手すりが取り付けられているので、心強いサポートの印象を受けました。

関連動画:公営住宅から見る富良野の住まい~バリアフリー編

 
 

 「真冬なのにTシャツでアイスクリームを食べる」…北海道「あるある」です。そこまで極端な例でなくても、北海道の住宅室温は暖かく保たれている場合が多いです。さて、公営住宅ではどのような仕組みになっているのでしょうか。

 外壁は、断熱材を含めた厚さが約30㎝にもなります。暖房設備は、住戸内にストーブに灯油を供給するコックと給排気口が、前もって設置されています。屋外にある灯油タンクから燃料が各住戸に供給され、排気が屋外に出て行きます。灯油は、契約している業者が随時補充するので、「あ!灯油がもう無い!」と焦ることが全くありません。むしろ忘れてしまうほどです。請求明細を見るまでは…。また、排気を直接屋外に出すので灯油の臭さを感じることはありません。

 富良野の寒さは、配管内にある水を凍らせ、膨張した水が配管を破裂させてしまうことがあります。なので、配管から水を抜く「水抜き」が必要となります。水廻りの近くにあるレバーを操作するという光景が、良く見られましたが、現在は、ボタン一つ、ワンタッチでそれができます。最近では外断熱の住宅が多くなり、建物全体が暖かいので、長期間留守にしない限り、ほとんど水抜きはしないそうです。

関連動画:公営住宅から見る富良野の住まい~寒冷地編

 
 

山本真央さん(富良野GROUP)

 倉本聰さんの舞台を観て、富良野で作品づくりを学びたいと移住を決心。「来れば、何とかなる!」と身一つで移住をにチャレンジ。

 友だちも知人も、住まいのあてもないままに、とにかく「行く!」と移住。水道を凍らせたエピソードなど、大変なことも楽しそうに話す真央さん。今では女優業とバレエ教室を両立させているバイタリティー溢れる毎日です。(関連動画:ふらびズムpeople 山本真央さん)

 

笠倉要一さん(富良野市東山在住)

 定年後、第2の故郷を作ろうと、埼玉からご夫婦で移住された笠倉さん。移住の決心から2年。競売の富良野郊外の東山地域の教員住宅を落札し、柱と屋根を残して自分達の好みにリフォーム。

 暮らし始めてわかる農村地帯と冬の生活に驚きと充実を体験した移住エピソードは、熟年ならでは、周到な準備とノウハウは、参考になることばかり。(関連動画:ふらびズムpeople 笠倉要一さん)